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はみ雑記---Category.1 どうぶつ関係 5「ムササビ」
ムササビに会いに行く。(高尾山のムササビ観察会:[主催]東京都動物園協会)2005. 3. 29 UP

★高尾山て東京のドコ★
3/19日、東京都動物園協会が主催する東京・高尾山での『ムササビ観察会』に参加させていただきました。
高尾山は東京の八王子市で、神奈川県にも少しまたがる標高599mの山です。
地図(マピオンHP内)
東京都でもこの多摩一帯にはまだ自然が多く残ってて、高尾山には今回のメインであるムササビやホンドリス、アカネズミ、コノハズクなどの野生動物が生息しています

★ムササビってリス科だって?冬眠しないって!★

 ムササビ
(学名:Petaurista Leucogenys)

30〜40センチ、体重が700gから1500gになる(※1)、齧歯目リス科の哺乳類です。
分布は日本の本州,九州,四国,朝鮮半島,マレー半島など。
(写真は上野動物園小獣館のムササビ/2004年,高崎賞表彰式にて)

全般樹上で生活し、杉などのウロやキツツキのあけた穴を自分で広げて巣にします。夜行性であり、最大の特徴は滑空して移動すること。それが彼等をほぼ完全な樹上生活者にしているようです。
腕と足の間に皮膜があり、飛行距離は40メートルから長い時は100メートルの大滑空をすることもあるそう。
つまり彼等が生きて行くための行動圏には高い木があることが必須条件なのです。具体的に「どうして必須?」別窓OPEN(05.05.28 追記 )

食性はほぼ草食。虫なども食べると書かれていることがありますが,ほとんどベジタリアンのようです。木の葉、花、芽、果実、種子などをたべ、特に桜の花が大好物だそうで、ツバキなどは花粉も好んで食べる様です。齧歯目にあって冬眠はしない動物なので,一年中観察が可能らしいです。
(上記参考文献は下記 ※1、※2、※3、※4)


★夜行性だからね★
...
ということで、夜行性の彼等に会うのですから夕方からです(^^;)。
2005年3月19日,当日PM4時に高尾山口駅前で集合すると,ムササビが住処にしているという高尾山の山頂、薬王院へケーブルカーで一気にあがりました。
日没の30分後が夜行性であるムササビの活動開始時間だということで,スケジュールはタイトです(^^;)。薬王院境内にて,先生によるムササビ観察の心得やムササビなるものの概要の早足説明。陽が暮れちゃうまえに...。

★ムササビ観察会グッズ(笑)★

ムササビの説明にはこんなかわいいぬいぐるみも登場。ぬいぐるみでありながら特徴を逃さず表現した実にリアルな作りです。
※かのやまね工房さんの作品,ただし特注なので数万円します(^^;)

ほぼ原寸、こうしてみると結構なおおきさ。
かわいいなぁ,ほしいなぁ(笑)

あらかじめ先生が採取していてくれたムササビの食べた葉っぱがこれです。
(お土産にいただいてしまいました。ウハウハとリュックにしまおうとすると全部もっていかないようにね、と(^^;)。先生は未来の自然保護を担う子供の参加者のために用意したのですし。<大人気ないワタシでした(__;))

葉っぱのまん中や端に齧ったあとがあります。

ムササビは前足の指が4本(退化した親指のあとはありますが)なのでその4本の指で葉を掴んで食べると葉が二つ折りになるためにこんな食べ方になるそうです。
木の芽は好物です。木の芽を食べる為にその木の芽のついている枝先をまず鋭い歯でサクッと剪定して、手に持って芽を食べるんでしょう。 切り口は鋭い刃物でスパッと切ったとようになってました。

こうして見ると、ムササビはとても贅沢な食べ方で食べ残しも多いですね。それが私達へのフィールド・サインになってくれているんですが。
これは,その土地に食べ物が豊富にあることが伺えます。もう一つ重要なことは、こうして違う種類の植物を少しずつたべることで、それぞれの植物が持つ微量の毒性が蓄積するのを回避しているのだそうです(※4)。ただ単に贅沢に見えるのですが、生活の知恵なんですね。

★それを頭にやきつけて、食べカスとうんちを探すのだ!★
ともあれ、その実物をみた上で「これと同じようなものが落ちている場所が観察のボイントになります」ということで、明るいうちに食べカスとフン探し(^^;)。
本を読んだり、先生に指をさして「ここらへん」とまで言われて探しているのに全然それらしいものが見つけられない情けないワタシたち。
先生に言わせると「食べカスの葉っぱは、ぼくらから見ると不自然に落ちているように見える」とのことですが、それはたぶん永年フィールドを歩いてきた方の、いわゆるムササビEYEというやつなのでしょう。不自然かどうか、フィールド・サインを見分けるにはワタシにはまだ数十年かかりそうです(^^;)。

何も見つけられないまま境内でかるく食事をとるころからものすごく寒くなってきました。
その後、参加の数十人が境内にしーーーーんと立ち尽くし、ムササビポイントからムササビがあらわれるのを待ちました。
とにかく寒い!!寒いぞ!春なのに、パンパじゃ無く寒い(^^;)。体がガタガタ震えてきます。
小1時間程でしたでしょうか、待てどもくらせどもムササビさんは姿をみせず、「どうやら今夜は違う場所にいるのかもしれない」ということで、登山道をゆっくり下山しながら姿を探すことにしました。
ムササビの雄は行動圏は持っていますが、テリトリーは持ちません。メスは巣穴を中心にテリトリーを持ちますが、そうでないオスは巣穴いくつか持っています(※2)。あるいは今日はいつものここではない別の巣穴にいるとすると、待ってても仕方ありません。なにより鳴き声が全然しなかったのです。

★下りの山道...★
下りの登山道は所々灯りがついていますが、他に灯りが無いので真っ暗。
しかも物音がしません。「ぐるる〜とかきゅるる、とかの鳴き声が聴こえたら、見れる可能性が高い」と言われているので耳を澄ましているのですが、約数十名の参加者のザッザッという足音がやけに大きく響いて、中々聴き取るのも難しい。
先生がおっしゃってましたが「足音で鳴き声が聴こえなくなることがあるので、観察には数名が望ましい」というのは、この静かな山中ではもっともだと思いました。

急な下りを列の先頭あたりでゆるゆる下っていると、目の前の方が突然「今、鳴いた!?」と振り向きました。隣にいた友人と坂道を20メートルほど駆け上がると、

「あ、飛んだ」

その視線の先に目をやると・・・・

いた!(喜)

丁度山道にそって飛んでくれたので、その姿は黒いシルエットでワタシの目にしっかりと焼き付きました。興奮しました。
ムササビってすごく速く滑空するんだ...。
50メートル程先の少し高い杉の木に飛んで消えていったように見えたので、あわててその木の下へ行ってみましたが、すでに姿をくらましたようでした。

←記憶が確かなら、こんなだった(実際はもっと高い所を飛んでます。デフォルメ(^^;))。

もちろん、見れなくても当たり前と思ってましたから,それでもいいと思ってました。
でもこうして見れたことで、観察の時になにがポイントになるのかが少しだけ分かったような気がしました。

★見れてよかったね★

これまで動物園の体験学習などに参加してて思ったのは、
その動物にかかわる人達が心底その動物を愛して可愛いと思っていることで、それは私達が「自分のウチの子を皆に見せたい、こういうかわいいところを知ってもらいたい」と思うのと同じ部分があると思うのです。
だからこのムササビについて真摯に考えて欲しいということと共にムササビのもっともムササビらしくかっこいいところを皆に見て欲しいという先生方の願いはきっと人一倍だったでしょう。
ムササビについて何も知らなかったワタシは目が覚めることばかりでした。

ムササビは冬眠しないので四季を通じて出会うことができるそうですが、出会ってその可愛い姿をきちんと見る事が出来るようになるには、あと何年もかかってしまいそうです。



★★今回の雑記作成にあたって以下のお話や文献や資料、★★
★★それとお話を参考にさせていただきました。★★
※1 フィールドベスト図鑑「日本の哺乳類」
ムササビのページ(P.72):Gakken
※2 『ムササビに会いたい!』著者:岡崎弘幸 出版: 晶文社
ムササビ・ウオッチャーのバイブルです(^^)。この本を読むと、ムササビを通していろいろな「今の日本と東京」の自然が見えます。  
※3 「高尾山のムササビ観察会」の配付しおり
当日配付されたしおりです。情報は新旧混ざっていますが、他の図鑑などと比べてみると面白いです。
※4 指導の先生方、動物園協会の引率指導の方、皆さんのお話やちょっとした会話の中から参考にさせていただきました。 

文中リンク:「やまね工房」  http://yamanekobo.com/index.htm
野生動物をモチーフにしたぬいぐるみたちを,オンラインで
      販売しています。ほんとうにかわいいんですよ(*^^*)


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