■レポート:上野動物園:夜間開園日8/13〜15にて(小獣館)
毎年お盆休みのころの3日間ほど、上野動物園では通常営業を延長して夜の8時まで開園しています(普段は5時まで)。今年は8/13〜15の3日間。各所で様々なイベントを開いてくれるのですが、ワタシの目当ては「夜の小獣館」でした(^^)。
小動物は補食の危険から逃れる為でしょうか、夜行性の動物がとても多いですね。
動物園ではその活動している生態を見せる為に、現実の昼間にその館内の照明をおとして「夜を演出」しています。
つまり通常の開園時間は館内は「夜の暗闇」なのです。観察にはうってつけですが、写真やスケッチにはいまいち明るさが足りないのです。
ワタシはこの機会を逃すまいと決意していました(オーバーな)。
この期間、夕方から照明のついた館内を見ることが出来ます。小獣館の動物たちにとっては明け方です。
昼間の休眠に入るまでの短い活動時間に、今回はカヤネズミに的をしぼってスケッチしてきました。
▲しっぽをうまく茎に巻き
付けつつ、頭を下にして
つたい降りてきます。
ハムスターには出来ない
離れワザ。
(除くチャイハム) |
▲少し写真が小さいですが、
足だけで器用に笹(?)の
茎にとまっています。
このか弱い茎と葉の中に、
宙にういたような
ボール状の巣を作る。
なんて器用なんだ....。 |
▲この股関節の柔らかさを
ごらんあれ。
左足と右足はそれぞれ別の
不安定な枝にあります。
しっぽも駆使して
バランスをとってる〜。 |
▲お腹丸見え。
なにもそんな格好になってまで
移動せんでも・・・(^^;)。
しっぽは、安定を保つ為に
巻き付けられる枝をさがして
常にさまよってます(笑)。 |
Photo©right:keijiさん
▲見て見て!
葉っぱを繊維にそって裂いている!
これからここに巣を作るんですか?
|
▲住居完成イメージ(笑)
巣は地上から1Mぐらいの
こんな不安定そうに見える
場所にあるらしい。
図鑑 ※3)と記憶を頼りに
描いたイラストでごめんなさい。 |
ところで、今カヤネズミの生息域は危機に瀕しているようなのです。
★東京都ではあきるの市などでその生息が確認されています。また千葉県では市川市など生息域の周りの開発が著しく、環境が変化してきている場所での確認がされているようです。(参考: ※4)
どちらも人里の近くで、人間の観点から様々な開発にうってつけな土地が残っている場所です。
カヤネズミはとても小さく非力で、その生態を話でうかがう範囲で考えても生息場所をそんなにたくましく移動していける生き物でもありませんし、その特定の場所をなくすことは大変な危機になると思います。その場所の植生が変わってしまったら、それでお終いになってしまう可能性もありますよね。
古くから比較的人間の生活域に近いところに住んでいる動物であるからこそ、危機に瀕することが多い、カヤネズミの危機は日本の在来野生動物の危機の典型ともいえるのかもしれませんね。
★カヤネズミは東京都のレッドデータブック「保護上重要な野生生物」のランクC(*1)千葉県レッドデータブックでは「要保護生物」に指定されています。(参考:※1,4)
*1・・・『ランクC』・・・生息環境の変化によりAランクやBランクへの移行が危惧される種。環境庁RDBの「希少種(準絶滅危惧)」に相当する種。
ちなみにAランクは「絶滅の危機に瀕している種」、Bランクは「絶滅の危機が増大している種」(参考:※5)
もちろん、日本の在来野生種のネズミ類は飼うことができません。捕獲禁止です。
絶滅が危惧されているからといって最近ペットショップで売られているらしい「ヨーロッパ・カヤネズミ」を増やして放そうなんていうのも、いけませんよ。交雑すると日本の在来カヤネズミは増々危機に瀕してしまいます。以前マジにいたんですよ、そういう「それは違うんじゃ」っていう保護意識を持つ人が...大人でね(_;)。野生動物をナメてはいけません。
そんなワタシも、じつは仕事で河川敷改修整備のイラストを担当したことが幾度かあります。
昔からの芦原の残る河川敷を、きれいな公園に整備するその計画には、ビオトープとしての芦原は残されていましたが工事中に住処を追われてしまうかもしれない彼等にまで手をつくしたのだろうか、などということは考えもしませんでした。
それもあって、ワタシの中でカヤネズミに対してちょっと複雑な思いがあります。
ワタシはまだ野生のカヤネズミに会ったことがありません。
いつかフィールドで会えたらいいなぁ。
フィールドに入る根性無しだしなぁ、無理かな(^^;)。